五十年の蠱毒

アニメをつくってるとよくいわれるのが「なんで世界に出てかないの?」とか「ちゃんとしたプロデューサーがいないんじゃないの?」とか「ピクサーみたいな世界展開アニメつくればいいのになんでしないの?」といった質問/疑問です。

彼らには、アニメはせっかく商品力があるのに国内のシュリンクしつつあるマーケットに固執して、だんだんダメになっていってるように見えるのだと思います。ぼくが常に世界マーケットでは広く流せない美少女アニメや暴力的なアニメをつくっている、彼らとしては「落ちこぼれ」のプロデューサーだからかもしれません。

それにはいろいろな要因とか返答のしかたが考えられますが、まず前提として英語の問題があります(たぶんアニメに限らず言葉の壁の問題はあると思います)。
で、ふつうは「英語ができないから国内にとどまっている」と考えるのが主流だと思います。
ですが実情としては「言葉の壁に守られている」のが近いです(そして日本語話者が1億オーバーという適正規模のドメスティックなマーケットが存在していることが重要です)。
おそらく日本が英語圏だったらとっくに娯楽大国アメリカの商品に蹂躙されていたのではないかと思われます(日本の人口が少なくても同様に)。
自国で娯楽をつくり消費する完結したサイクルを維持できるというのはけっこうすごいことだとぼくは思うのですが、どうですかね?

ぼくはよくアニメを浮世絵にたとえるのですが、浮世絵も国内蠱毒で隆盛したもので外貨でまかなわれていたものではありません。鎖国してたし。

半世紀ほど前に手塚治虫がディズニー作品見てテレビアニメに参入して日本なりのアニメのいわゆるリミテッドなつくりかたを模索したように、デジタルな21世紀ならではのリミテッドな日本のありかたは模索していく必要があると思うのですけど、たぶん世界基準みたいなのでアニメつくっても同じ土俵だとピクサーとかには勝てない気がするんですよね。

日本のアニメの強さがもしあるとするならそれは日本というマーケットで半世紀にわたって競争し切磋琢磨した結果と考えるほうが自然だと思いますので、今後もメインの戦場は国内でよいのではないかなあと。

もちろんちゃんとしたプロデューサーがピクサーみたいな世界展開アニメをつくるのもありです。それはそれでがんばっていくべきものですので、ぼくもチャンスをいただければチャレンジしてみたいと思いますを
世界展開したいクライアントのみなさまバーナムスタジオにご一報ください。

コメント
いつも興味深く読ませていただいてます。
自分も考えたことのあるテーマだったので
気になりました。
制作仲間と酒を飲みながらこのテーマ
(どうやったらアニメ業界にお金が入るか
的な話からの派生)を話したことがありましたが
これだ!という結論は出ず、極論?として
「有機ELのモニタと今昔のアニメをしこたま入れた
HDDレコーダーとバッテリと自転車で世界中の町や村に
アニメ紙芝居屋として翻訳しながら勝手にゲリラ布教する」
でした。運が良ければそのアニメを見た子供や
外国の方が日本アニメリスペクトで色々ビジネスの種
としてまかれるのではないか!的な超長期的展望?
希望的な話で無理矢理まとめたのを思い出しました。
昔のアニメが海外で放映されていて海外でアニソン
ライブをやったらすごいお客さんが来たという
情報からの思いつきでしたがお金と体力と言語力
が無いと無理ですし、そもそも各所に怒られて
著作権警察?に追い回されそうですしね。
乱文長文戯言失礼しました。
  • sora_shirado
  • 2014/02/17 1:23 PM
アニメ業界のかたですね。

ちょっとまじめにお答えすると、アニメに備わっている文化侵略能力は超強力です。
ハリウッドとくらべても遜色ないクラスです。
だから合法/非合法問わず世界中でアニメは見られています。なのでおっしゃるゲリラ布教もとても浸透すると思います。

ハリウッドとの大きな違いですが、ハリウッドは販売網と興行&ビデオグラムによる世界的な資金回収手段を持っています。
アニメにはそれがありません。

ではどうすればよいかというと、ビジネス的な活路はマーチャンダイジングにあります。
ハリウッドのように映像そのものを売るのではなく「アニメで文化侵略をしつつ関連した商品を売る」ですね。
大航海時代ののキリスト教宣教師と商人のセットみたいな(よく知らないですけど)。
  • satomi
  • 2014/02/17 6:15 PM
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