弊社がここにある理由

この前、若手のプロデューサーのかたとお話をする機会がありまして、なぜ里見はバーナムスタジオなる個人会社を設立したのかという話題になりました。

たぶん不思議ですよね。

ですが、当時をご存じだともっと不思議かもしれません。あのころフリーのアニメプロデューサーがいたのか存じ上げませんが、少なくとも里見のようにいくつもタイトルをかけもちしつつテレビアニメを流し続けるかたはいらっしゃらなかったと思います。
そんなわけで先行者もいないところでなんとなくはじめたのですけど、追随してくる同業者も10年ぐらい現れなかったので、先見の明というよりは誤算を放置し続けた結果と申し上げてよいかと思います。

「止まった時計は12時間に一度正しい時間を指す」

ということです。


さて、今日のブログはほとんどのかたが興味のない弊社が存在する理由についてです。

何度か書いてますが、里見はもともとムービックに就職しまして、その後ブロッコリーに転職します。
そのなかでプロデューサーというお仕事に就くことになり2003年2月にバーナムスタジオをつくって独立をします。

今となってはビジネス側の責任者として適度なチェック頻度と距離感のプロデューサーという役職ですが、そのころは現場(ひとでいえば監督はじめアニメの制作スタッフであり、場所だとアニメスタジオとかですね)にいりびたっていて、アフレコが終わるたびに毎週スタッフとキャストで飲みに行く(そしてプロデューサーが支払う)ようなのどかな時代でした。
製作委員会方式は普及してましたがまだまだ簡素なもので、たとえば里見がブロッコリー時代にはじめてプロデュースした2001年のアニメ『ギャラクシーエンジェル』は2社です。
里見は20世紀末から21世紀にかけてばりばり活躍していたプロデューサーを仰ぎみてプロデュースを学んでいたので、今となっては古いこの時期のプロデューススタイルをベースとしています。

ところが、アニメがビジネスとして注目されるようになりいわゆる「常識」が浸透しますと、不合理は淘汰されていきます。
「毎週飲みに行って何十人分の飲み代払い続けるのおかしくね?」とか「終わったらうちあげするんだからはじめる前にやるうちいりはやめてもよくね?」とか「アニメつくるたびに製作発表会とか要らなくね?」と無駄が省かれて合理的なビジネスになっていきます。
制作面でも以前ならば「飯食いに行こうぜー」ぐらいの理由で顔を出していたスタジオにも、用事のあるときしか行かなくなります。
このビジネス的な要請によるプロデューサーの職掌変化にまったく適応せず、同じ立ち位置をキープし続けたらどうなるかといいますと、それが今の里見のポジションになるのです。

里見は未経験のままいきなりプロデューサーに抜擢された関係で当時はひとりだけ若く、まわりのプロデューサーは干支ひとまわりぐらい上でした。おかげで素人同然にもかかわらずやさしく接していただけたのですが、今やみんなえらくなって管理職とか経営にまわっているかすでに退職されています。
そんなわけで、若手のプロデューサーさんからすると里見は奇矯なふるまいをしているように見受けられると思います。が、そうではありません。大変いいにくいことですが、あなたがたの上司のほうがはるかに常軌を逸してましたよ。

つまり何がいいたいのかというと、変わったのはぼくではなく、世界のほうだということです。

実はぼくはずっと同じ場所にいるのです。
止まった時計のように。
みんなが動いているだけで。
そしてあのころと同じ場所に居続けるために弊社はあるのです。

そんな10数年にわたる弊社の存在が業界的にどのような影響があったかといいますと、大きくふたつあるかと思います。

ひとつはフリープロデューサーという職業をアニメ業界に定着させたこと。

クライアント側にも現場側にもプロデューサーはいらっしゃいます。なのにさらに外部の個人をプロデューサーとして雇い対価を支払うのは不合理と申し上げてよいです。この不合理をなんやかんやと前例として積み重ねて各社に定着させていったことで、クライアントも現場もフリープロデューサーに仕事を発注することが当たり前になったので、今フリープロデューサーをしてるかたはパイオニアである里見に感謝して印税を払ってもよいのではないかと思いますし、弊社もいつでも受け付けていますのでお気軽にご一報ください。
あとひとつはスタジオの独立機運を高めたことです。

現状のアニメビジネスの問題点として挙げられることも多い、経営的に脆弱なアニメスタジオ林立の一助を担い、気軽に独立してしまう雰囲気づくりに貢献していまして、くわしくは下記に書いてあります。

アドバンスドr戦略

まあ正直申し上げてどちらもビジネス的には不合理というか旧弊と申し上げてよいでしょう。


そんな感じでバーナムスタジオは存在しているのであります。
今後もご愛顧のほどよろしくお願いします。


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