書いておいたほうがよいのかなと思うのでいちおう書いておきます

幻冬舎さんが文庫化の決まっていた津原泰水さんの作品の出版を土壇場でキャンセルされていたことが発覚しました。理由は昨年幻冬舎さんが発売した百田尚樹さんの『日本国紀』を批判したからだそうです。

昨今のスタンダードなやり口ですと「批判にはあたらない」「総合的な判断」とバカのふりに終始して追加情報ゼロのまま鎮火するのがセオリーなのですが、幻冬舎さんと社長の見城徹さんはある意味正直に実売部数を挙げて津原さんを攻撃しはじめてしまいました。
これはどちらか二択だとすると後者のほうが理由を説明しているだけまだ誠意があるのですが、キャンセルしたあとに作家を貶める行為なので、道義的に許されるものではありません。少なくとも第三者の目に触れる場でいきなり公開する内容ではないです。

解決したはずなのになんで今さら、と見城さんサイドがこぼされてましたが、幻冬舎さんが絶縁した津原さんに対しておこなった行為からすると、津原さんが早川書房さんでの出版を確定してから公表したそのタイミングの正しさが結果的に証明されてしまいました。

これは出版業界の特殊性などが原因であるかのように語られたりしますし、その要素もあるかと思うのですが、企業とフリーランスで取り交わされる一般的なビジネスでもあまり変わらないです。 二者間でもう少し話し合えれば世に出ないままだったのではないかと思います。

それにしても幻冬舎さんというか見城さんのツイッターやめる宣言での幕引きは、問題点への対処ではなく問題点を表面化させないための対処なので、ふつうに考えるとよくないなあと思うけど、それが「正しい対処」になるぐらい病は深いともいえますよね。

おそらく幻冬舎さんは問題点が認識できていないので、考えられる次の手はNDA(守秘義務契約)の強化なのではないかと思います。今回の津原さんの行為が契約違反になるようにして、二度と表面化しないようにされるはずです。

これは幻冬舎さんが特別な判断をされる会社なのではなく、勤勉な現場スタッフと決断力のある経営者を抱える世の中の企業が同じ状況に陥ったら同じことをするのは想像に難くないです。

発行部数が多かった時代では、編集者さんは作家さんの側に立つものと当たり前のように考えられていて、マネージメント全般を編集者さんにゆだねててもあまり問題にならなかったのですが(ほかに手段もありませんでしたし)、今はそうではなくて「どのように自分の身を守るか」を編集者さんが第一優先に動く想定で、作家さんも同様に自分の身を守る手段を持っていなければならないのかもしれません。

もちろん過去水面下で何が起きてたかは知る由もないですけど(というかほかに選択肢がない以上もっとひどいこともたくさんあったはずです)。

出版業界は大きな変動期です。紙から電子への移行は、出版社や編集者のありかた、流通、小売、再販制度にいたるすべての変化を求めています。
今回の件もこの大きな変化の流れのなかに生じた齟齬のひとつとなっていきます。

ぼくは本が好きなのでよい方向に流れていってほしいと思います。

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