永遠なんて怖くない

『コレラの時代の愛』を読みました。

正直ぼくはガルシア=マルケスのよい読者とはとても呼べない(なにしろこの前に読んだのが十数年前の『族長の秋』……。読んだ長篇はほかに『百年の孤独』だけ)のですが、突然新潮社から「ガルシア=マルケス全小説」なる叢書が刊行されはじめてしまい今から一気にすべて読めてしまうという状況が生まれてしまいました。
ということでなんと『餓狼伝』と同じ理由で手に取ってしまったのです。夢枕獏とガルシア=マルケスを同一線で語るオレっスゲー。
現在ほかの既刊は代表作『百年の孤独』と最新作『わが悲しき娼婦たちの思い出』。となればまず読むのは『コレラの時代の愛』となるわけで。

舞台は19世紀後半から20世紀前半にいたる50年以上にまたがるコロンビア。描かれるのは明快な純愛物語。ある意味狂気とも呼べるストレートな恋愛です。ガルシア=マルケスらしい描写力はすばらしく、時代背景、風俗、末端の登場人物、ただよう空気感にいたるまで綿密に浮かび上がらせていきます。例によって細かく濃密なエピソードがおしげもなくつぎ込まれて「あらすじ」など寄せつけない迷宮めいた様相を呈していきます。ちなみにあらすじは「半世紀を経て結ばれる男女の恋愛ドラマ」です。以上。ここにすべての「要素」があり、すべての「小説」が抜け落ちている感じ。
特にクライマックスのマグダレーナ川の船旅の情感は突出しています。狂気を狂気ならざるものとして描くためのアクロバットです。50年の変わらぬ思いではなく、50年を経て再会した者同士の新たな思いとしてとらえる方が自然なのかもしれません。なにしろもともと相手のことをほとんど知らないのですから(それゆえ狂気めいて感じられるはずなのですが、船旅がこの狂気を一蹴します)。それにしても「船旅」と「時間」は相性がよいですね。『地獄の黙示録』とか(←おいっ)。

すべてはフロレンティーノ・アリーサの最後のセリフが言い尽くしています。果てしなく思えるほど積み上げてきた人生の清濁から、彼岸へ一気に押し上げてしまうこの一言が、すがすがしい読後感になっています。53年7ヶ月と11日にわたる老境の恋愛ドラマが、尽きせぬ生への讃歌に転化する瞬間です。

なんか。
傑作でした。

全部買っちゃうのかなぁ。
『百年の孤独』とか……再読するかなぁ。

するだろうなぁ。

どうでもいいけどガルシア=マルケスは若い女性に大人気ですね。
売り出されてるよ。

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